肩腱板
肩甲骨と腕の骨(上腕骨)をつなぐ板状の腱です。屋根の骨(肩峰)と上腕骨の出っ張り(大結節)に挟まれるようにあり、腕を上げ下げするときに肩関節の軸を保ち、関節を安定させる働きがあります。また、四十肩・五十肩と言われている人の中には、腱板の症状が原因のことがあります。
夜間の痛み・腕を上げるときの痛みなどです。中高年に多い疾患で、原因は、加齢で腱がすり切れたり、転倒などによって切れるなどです。肩の動く範囲(可動域)が悪くなることは少なく、腕の上げ下ろしの中間で痛みや引っかかりがあり、上げきってしまうと痛みが落ちついたりします。また、腕が上げれなくなってしまうこともあり、反対の腕で支えると上げることができたりします。夜間痛は朝方にみられることもあります。
まずは、保存療法を行います。保存療法とは、消炎鎮痛剤などの薬物療法、肩の機能訓練などのリハビリ、関節注射などです。保存療法でも症状が残って日常生活に支障が出る場合は、手術治療を行います。転倒などの外傷による受傷では、早期に手術をすすめる場合もあります。当院では、大きく皮膚を切るのではなく、小さな傷で行う内視鏡での低侵襲手術を行っています。
肩関節
肩関節は、人体の関節の中で、最も不安定で脱臼しやすい関節です。しかも、ひとたび脱臼すると、肩関節の安定性に重要な靭帯がついている関節唇が剥がれてしまいます。脱臼を整復しても、剥がれた関節唇は、骨に生着することは少なく、剥がれたままのことがほとんどです。そのため、くせ(反復性)になることが多く、特に若い人は、くせになる可能性がかなり高い(70~90%)です。
脱臼時は、肩を動かすことが困難となり、かなりの痛みをともないますが、整復されるとよくなります。ただ、前述の通り、整復しても靱帯は機能せず、痛みや脱臼不安感や脱臼再発を繰り返すことになります。寝返りや腕を後ろに回すだけでも簡単に脱臼してしまう方もいます。また、脱臼を繰り返すと、骨が徐々に削れてきてしまいます。
くせになってしまった肩を治すには、残念ながら手術でしか治すことはできません。手術では、小さなアンカーを用いて、剥がれてしまった関節唇を骨に縫着させます。当院では、小さな傷で行う内視鏡での低侵襲手術を行っています。術後早期に、可動域訓練などのリハビリは開始できますが、負担のかかる本格的なトレーニングはが開始できるのは術後3ヶ月ほどです。
上腕骨近位部骨折、肩関節脱臼骨折、上腕骨大結節骨折、鎖骨骨折などの肩関節周囲の骨折に対しても、保存療法・低侵襲手術治療を行い、早期の機能回復を目指しております。